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http://hdl.handle.net/10564/43
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タイトル: | 大腸癌転移における腫瘍宿主相互関係 |
その他のタイトル: | TUMOR-HOST RELATIONSHIP IN COLON CANCER METASTASIS |
著者: | 國安, 弘基 |
キーワード: | colon cancer mouse Orthotopic cancer model mucosal hyperplasia, metastasis |
発行日: | 2002年2月28日 |
出版者: | 奈良医学会 奈良県立医科大学 |
引用: | Journal of Nara Medical Association Vol.53 No.1 p.1-9 |
抄録: | 癌とその周囲の宿主組織との微小環境における相互作用は癌の発生・進展さらには転移に大きな影響を与える因子であり,その解明は,癌の機構解明に重要であるのみならず,診断・治療への応用が期待される。癌細胞が産生・分泌する多種多様の因子が腫瘍に接する正常組織に影響を与えるが,その点では,痛周囲の正常組織は痛の総合的な性質を測る一つの試験紙ということができる。マウスを用いた同所性移植大腸癌モデルは移植痛組織に対する宿主組織の純粋な反応性変化を評価するのに適した系であり,同実験系とヒト大腸癌組織に対して検討を行い,痛一宿主相互作用を通じた転移促進機序の解明を行った。われわれは,ヌードマウス盲腸にヒト大腸癌細胞株を移植し痛周囲粘膜の変化を検討した。痛移植後癌周囲粘膜には過形成性形態変化が発生しproliferating cell nuclear antigen(PCNA)陽性核の増加を伴っている。この変化に伴い,過形成性粘膜からのvascular endothelial growth factor(VEGF),basic fibroblast growth factor(bFGF)といった血管新生因子の発現が克進し,癌と粘膜との境界部に多数の新生血管が形成される。また,epigeneticな変化に起因するmutL homologl(MLHl),O6-methylguanine-DNA methyltransferase(MGMT),p16INK4AといったDNA修復遺伝子・細胞周期抑制因子の発現低下が認められる。これらの変化の一因として,癌細胞から産生されるinterleukin(IL)-15が重視される.このような,動物モデルにより明らかとなった知見は,ヒト大腸癌手術材料でも確認され,癌周囲粘膜の過形成性変化は血管新生を通じて癌の進展・転移を促進するのみならず,転移能を反映するマーカーでもあることが示された。この結果をもとに,ヒト大腸癌術前内視鏡的生検材料を用いて痛周囲粘膜上皮におけるKi-67 1abeling indexを指標として切除後の転移の有無をprospectiveに予測検討した.この結果,転移陽性症例では癌周囲粘膜の過形成性変化Ki-671abelingindexは有意に非転移例よりも高く,80%の症例で転移の有無を正診し得た。このように,痛周囲粘膜は痛の進展に重要であり,生検により転移マーカーとしても有用と考えられた。 |
URI: | http://hdl.handle.net/10564/43 |
ISSN: | 13450069 |
出現コレクション: | Vol.53 No.1
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